シンポジウム・研究会
【連続ウェビナー】第7回 Perspectives on Urban Inclusivity: 包容力ある都市論研究会

Posted at : 2021-12-08


本連続ウェビナーのねらいは、インナーシティに構築されたサービスハブを分析対象にし、生活困窮者支援をめぐるフォーマルとインフォールの力学を分析することを目的とする。東アジアとヨーロッパの事例を比較することで、パンデミックの伝播による生まれた新たな都市コモンズの可能性を検討していく。

日時:2022年1月11日 午前9時30分〜11時30分(オンライン開催)

報告者ジョシュア エバンス (アルバータ大学, カナダ)
タイトル貧困、問題化、マージナルな生活の社会空間的管理

*参加をご希望の方は、下記URLより参加登録のお手続きをお願いいたします。手続きは簡単です。
https://forms.office.com/r/YM1FqSdTjY
ウェビナー直前に、参加登録を頂いた方に参加用のZOOMアドレスをお送りいたします。

※都市研究プラザ共同研究「フォーマルとインフォーマルの力学から都市コモンズを問い直す:ヨーロッパと東アジアの 生活困窮者支援の現場から」国際共同研究強化(B)支援「都市分極化に抗する非排除型空間の組織的取り組みと包容力ある都市論の国際比較研究」(代表: 水内俊雄)







要旨
カナダは高度に発展した裕福な国であるが、都市では、著しい不平等、不安定さ、不公正が目立つ。エドモントン市も例外ではない。アルバータ州に位置しているエドモントンは、約100万人の人口を抱えている大都市である。アサバスカオイルサンドから車で数時間の距離にあるエドモントン市の経済は、長い間、アルバータ州の化石燃料産業の発展と結びついており、目覚ましい経済成長と所得の増加、そして「プログレッシブな」社会政策をもたらしてきた。アルバータ州は、ホームレスをなくすための州戦略の一環として、ハウジング・ファーストをいち早く導入し、この目標に向けて何億ドルも支出した実績がある。しかし、アルバータ州の繁栄と野心は、経済的に疎外された人々の主な支援源である社会的セーフティネットが希薄であることを偽って伝えている。つまり、福祉給付金の基準は比較的に低いレベルであり、補助金付きの住宅を探すのに何年もかかってしまう。毎晩、推定3,000人のホームレスが、緊急シェルターや、市内に散在する公有地において作ったテント村などに一時的に野宿している。緊急シェルターでは、必要最低限のものしか提供されず、明らかに薬物依存状態に見える人は追い返されることが多い。野宿は、緊急シェルターのスタッフの監視から逃れることができるが、警察や市の職員によって日常的に「排除」され、人々は市内を流れる森林の多い川の谷間まで追いやられるケースもある。このような不安定さは、特に冬の間は生死に関わる問題だと言っても過言ではない。エドモントンでは、年間180日が氷点下であり、そのうち25日は最低気温が-20℃を下回る。残念ながら、凍傷による切断や、凍死もよく見られる。
以上のような厳しい状況は、地理学者が「都市貧困の管理」と呼ぶところの実施体制のありようを意味している。都市の貧困管理は、都市の貧困を「規制」し、より一般的には都市の社会秩序を維持するために、都市のエリート、ボランタリー・セクター組織、国によって地域レベルで運営されるケアとコントロールの機関が混在することによって達成される。本発表では、都市貧困の管理を検討するためのコンセプト、すなわちフーコーの「装置」と「問題化」の概念を紹介する。そのため、エドモントンを事例にして、問題化への対応がいかに重要であるかを明らかにする。こうして、「貧困管理装置」が見えてくるものである。さらに、問題化の空間性に注目するために開発された概念的な装置である「思考イベント」の概念を紹介する。これらの概念を用いて、地方行政は、節合と対立を調整する役割の場として重要であることを本発表で主張する。




使用言語は英語から日本語、日本語から英語で、逐次通訳となっています。いずれも発表45分、質疑15分で、逐次通訳となりますので、おおむね2倍の進行速度を想定しております。




連続開催のセミナーは、欧州、北米や東アジア等の事例を中心にホームレスネス、ハウジング・ファーストからジェントリフィケーション、市民権やソーシャルイノベーションなどの問題についての研究報告プラットフォーム形成の一環として開催しております。なお今回の日本側の担当は、埼玉大学のヨハネス・キーナーです。




ご不明点等ございましたら、下記のアドレスにご連絡をお願いいたします。
info.urban.inclusivity@gmail.com(ウェビナー本部)